Wires Crossed
アメリカ人プロスケートボーダーでアーティスト、エド・テンプルトン(Ed Templeton)の作品集。1990年代から2000年代初頭にかけて流行した、パンクやDIY精神に満ちたスケートボードのサブカルチャーを回想作のように記録した1冊。本書のなかで、過去20年以上にわたる作者のイメージ・メイキングにおける、生々しく情熱に燃える活力が脈々と流れている様子が見受けられる。
『Wires Crossed』は、写真、コラージュ、テキスト、地図など、作者自身の日記から抜粋したエフェメラで構成されており、サブカルチャーが生まれつつある様子を内側から観察することができ、作者が作り上げたスケートボードの世界から生まれた独自の美学を反映している。作者は、プロのスケートボーダーとしてスケートボード世界チャンピオンのタイトルを2度獲得しており、その上で1990年代以降、スケートボードが文化的価値を高めていく中で、写真家、アーティストとして活動してきたという珍しい立場にある。マンハッタンのローワーイーストサイドにかつてあった、アーロン・ローズ(Aaron Rose)が主宰する「アレッジド・ギャラリー(Alleged Gallery)」に所属していたアーティストを中心にゆるやかに結成された集団「ビューティフル・ルーザーズ(Beautiful Losers)」のメンバーとして、作者の作品は初めて評価された。
本書に収録されている作品の多くは未発表、またはこれまで表に出ることのなかったもので、それらは作者自身のイメージメーカーとしての旅と、ツアーで世界を横断し、ロックスターのような新しい地位に喜びを感じ、新しい土壌を永遠に探し続けるプロスケートボーダーたちの人生を探求している。作者とプロスケーター仲間や友人とのインタビュー、対談は、旅先での生活のプレッシャーや楽しみ、また、デッキ上であれ、カメラを構える側であれ、ひとつの芸術を夢中で追求することの意味について、魅力あるディテールをエッセンスとして加えている。
福島、東京、北京、杭州、ソウル、シェムリアップ、プノンペン、石巻、ワルシャワ、ウクライナ、チェコ、モルドバ、カリフォルニア、高知──、それぞれの時間の変容を照らし合わせ、積み重なる今に思いを巡らします。
― ディストリビューター説明文より
- 判型
- 279 × 218 mm
- 頁数
- 264頁、掲載作品278点
- 製本
- ハードカバー
- 発行年
- 2023
- 言語
- 英語
- ISBN
- 978-1-597115-36-0